NYAR

NYのHarlemに住んでいた頃、借りていたパーキングに数匹のねこ達が住み着いていた。
その中でもその黒いねこは、とても痩せこけていて、「ニャア」と鳴く事もできない程弱っていた。

毎日ごはんをあげるようになって数ヶ月が経ち、少しは元気になっていたものの、
まるでアクセサリーかのように泥棒草をたくさんつけたその黒いメスねこは、まだまだ痩せ細っていた。

僕は彼女に早く「ニャア」と鳴けるようになって欲しくて、
「ニャア」と名付けて、顔を見る度に「ニャア」と呼びかけていた。

秋になり涼しくなりかけたころ、偶然通りかかったランドロード(大家)が、
「そんなに毎日エサをやってるんなら、アパートで飼ったらどうだ!?」と言ってくれた。
さっそく翌日ケージやねこ用トイレ、キャットフードなどを揃えて、黒いねこの捕獲作戦を実行した。

いつもより警戒を強めていた彼女だったが、キャットフードの魅力に負けたようで、
あっさり捕まえることができ、シャワーをして動物病院にも連れて行き、ニャアとの暮らしが始まった。

それから、しばらく経って「ニャアアアア」という声を聞けたときのことを
僕はいつまでも忘れる事ができない。

今はもうお星様になったニャアだけど、僕の心の中ではずっと
あの頃の面影を残したまま、生き続けている。